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子どもの体力向上に向けた調査研究 2000~2003

29 子どもの体力低下および体力向上に関する試み

子どもに関する関心が急速に高まってきている。少子化を食い止めるために、子どもを育てる環境の整備が叫ばれている。安心して子どもを生み、育てることが出来る制度の改革も進みつつある。大学では、子ども学科や保育・児童学科の新設も数多くおこなわれている。また、子どもの虐待や       子どもを取り巻く環境の悪化、犯罪を含んだ問題行動が頻繁に生じてきていることから、子どもの安全に関する地域の取り組みも進んできた。ゆとり教育の見直しや学力低下の問題もクローズアップされてきている。教員免許制度の見直しも図られている。教育に関する政治的な取り組みも進んでいるが、子どもを健全に育てるという基本的な取り組みがまだまだ不足しているように思われる。

体育の先生は、学校の中で、他の教科の先生よりも低い位置づけに考えられていた時代が長かった。大学でもそうした傾向を強くもっているところもあるが、少なくとも東京大学教養学部(大学院総合文化研究科)では、そうした偏見は完全に払拭されてきている。なぜならば、身体に関する教育の大切さや、学問研究の高い水準が他の教科の先生方からも素直に認められるものになっているからである。入学してくる学生たちの身体に関する認識はきわめて低いが、教育カリキュラムのなかで、そうした状況の改善をはかってやると、学生たちは驚きの声をあげる。いかに、小学、中学、高校の体育授業が軽んじられているかが身をもって感じさせられる。
確かに、学校現場では10年前までは、体育教師の質は低く、体育という教科も他の受験科目に比較して軽んじられるという全くいわれのない偏見をもたれる傾向があった。学校の現場でも、体育の教師が校長になれる確率は低いものであった。しかし、昨今では様子が大きく変わってきており、小学校、中学、高校で、体育の教師が校長になる割合がもっとも高いという。体育の先生が、学校で重要な役割を果すようになってきているのである。全人的な対応を求められる教育の場では、体や心の働きを総合的にとらえられる体育的な内容が強く求められる時代になってきているのである。子どもたちの将来を考えると、こうした傾向は大いに歓迎すべきものであろう。

子どもの体力に関しては、1964年の東京オリンピックの頃にその原流を求めなければならない。1960年代には、日本の子どもたちの体格や体力が世界的水準と比較して、極めて低水準にあるという認識から、子どもたちの体力を向上するための教育内容が学習指導要領に取り入れられた。さらに、子どもたちばかりでなく、日本人全体の体力向上を目指して、「国民体力づくり」が社会的に大きなムーブメントとなって、幅広い関心の高まりを見せた。
このことには、日本の経済力が向上しつつある時代的背景も大きく関係していた。右肩上がりの高度経済成長時代のなかで、日本経済も国民の体力も向上し続けた。特に栄養や生活様式の近代化に伴い、子どもたちの体格(身長、体重)は、年々著しい向上を示し、体格の大型化が実現した。体力は、体格の大型化にともなって向上を示した。しかし、やがてその比例的な発達のバランスが崩れる時期を迎えることになった。
経済成長が頂点を迎え、バブルの崩壊が始まったのは1990年代になってからであるが、子どもたちの体力運動能力は1985年時点で頂点に達している。その後は、体格の向上は進行しても体力運動能力の全国平均値は右肩下がりに低下傾向を示し、1960年代の水準に戻ってしまっている。体格は大きくなったが、体力が伴っておらず、体格に比較して近年の子どもたちの体力は1960年代の子どもたちよりも低い状態にある。
子どもたちの体力低下は、基本的に生活環境や教育環境の変化により、身体を活動させる機会が減少していることに起因していると考えられる。近年では、特に小学校低学年の子どもたちの体力水準が低いことが注目される。
文部科学省のスポーツテスト(体力運動能力調査)は、昭和39年(1964年)から開始されたが、この頃の子どもたちの体力運動能力の水準が、ちょうど現在の子どもたちの水準に近いものであった。
文部科学省では、青少年期の10年前と20年前のピーク値を比較してみると、ほとんどのテスト項目で20年前から10年前への低下より、10年前から現在への低下のほうが著しいと報告している。12歳から19歳までの年齢で、50m走、持久走、ハンドボール投げの水準低下が顕著である。10年前から現在までにピーク値は、50m走で男子0.07秒、女子0.18秒遅くなり、ハンドボール投げでは男子1.46m、女子1.72m成績が低下している。
子どもたちの体力状況や、それらが子どもたちの日常生活行動や考え方、意欲などにどのような影響をもたらしているかについて考察するために、全国11都道府県の6歳から18歳の児童生徒10,017人を対象に「体力、運動能力、社会生活、意識に関する調査研究(平成12-14年度科学研究費補助金 研究責任者小林寛道)」を実施し、多角度から体力低下の要因について検討した。この調査研究は、新体力テストの成績とあわせて社会生活や意識に関する調査を多数の同一対象に対して実施したという点で特徴的である。

 調査項目には、就寝時間、起床時間、眠りの状態、便通、朝食、夜食、食事内容、立ちくらみなど、体型、通学時間と手段、勉強時間、テレビ視聴覚時間、テレビゲーム、読書音楽鑑賞、学習塾、運動遊び、学校の休み時間、スポーツクラブ、今までの遊び、運動の達成度、運動・スポーツ観、家庭のスポーツ環境、友人・家庭のスポーツ環境、体力つくり観、などを含めた。 調査結果を処理する上で新体力テストの体力評価水準(A、B、C、D、E)に基づいて、グループ分けし、それぞれの調査結果をグループ別に比較した。
全国1万人の子どもたちを対象とした調査した結果では、自発性(内発的意欲)、達成満足性(スポーツ活動の楽しさ)、主体性(運動・スポーツの目標設定)、運動欲求(運動・スポーツの欲求)、ソーシャルサポート(友人との運動・スポーツ)、健康統制感(体力向上の統制感)、のいずれにおいても体力水準の高い子どもたちと比較して、低体力水準の子どもたちでは、低水準であり、体力を向上させることへの意欲も極めて低い。発育期にある子どもたちの身体不活動に起因する影響は、生活習慣病、ストレス、精神・心理的不調、体力発達の停滞という形で現れている。しかし、身体不活動は、脳の活動活力を低下させ、自発的な意欲、気力、集中力、根気・粘り、といった能力を低水準にさせる結果を導いている。
私は、これらのことから、「体力低下」は「学力低下」と連関しており、子どもたちが正しい生活習慣を身につけ、活発な身体運動を実践することによって「学力向上」が起こると主張した。
すなわち、この調査研究によれば、「体力や運動能力の水準が高い子どもでは運動や学習に対する意欲も高く、日常生活習慣についてもより好ましい状態にある」という結果が得られている。このことは、逆の言い方をすれば「体力や運動能力の水準が低い子どもでは運動や学習に対する意欲も低く、日常生活習慣についても好ましくない状態にある」ということである。体力や運動能力の問題は、子どもたちの日常の生活態度やものごとへの取り組みの意欲といった精神心理面、ひいては脳の活動状態にまで影響をもたらす要素を反映しているといえるのである。
 子どもの体力低下傾向は、中学・高校生において目立つ部分が多いように見受けられるが、実際には小学生および幼児期の運動能力の低下が著しい。このことには家庭や社会での生活様式の変化や、子どものからだや安全に対する考え方が大きく影響していると考えられる。幼児期および小学生期からの体力運動能力の発達の程度が低水準であることから、このままいけば将来的に体力低下の傾向はますます進行することが容易に想定できる。

 わが国の陸上競技の成績は世界水準にあり、マラソン、長距離、投擲、さらに100m走をはじめ短距離種目でも著しい向上を遂げている。誰もが日本人の国際競技力の向上を疑わない状況にある。しかし、インターハイ100m走の上位20傑平均記録を年度ごとに比較してみると近年ではむしろ記録が低下傾向を示しているのである。現状での国際競技力の向上は、きわめて層の薄いトップ選手層にかぎられていると言わざるを得ない。学校を取り巻く環境では、運動部員の数も減少の傾向をたどり、運動部の活動も活発な勢いを失いつつある。地域スポーツクラブの育成が叫ばれているが、充実にはまだ時間が必要であるし、現実的制約も多い。
 このようなわが国の状況であるが、子どもの体力と運動能力の発達の様子を科学的立場に立って的確に捉え、より好ましい方向への発達を助長させる努力を行うことは、体力低下のもつさまざまな波及的影響を考えたとき、大変重要な意義を持つということができる。
 しかし、体力向上ばかりを叫んでも、教育界をはじめ、保護者の反応も鈍い。そこで、運動と脳の関係について研究を進め、「運動は脳をはぐくむ」といった視点から、身体を動かすことの重要性を認識してもらうことが早道であると考えるようになった。私は、機会あるごとに、次のような解説をしていくことにした。

「人間の成長発達にとって、からだと脳のバランスがとれた発達が必要です。脳は人間のからだを支配し、機能させるうえで重要な役割を演じていますが、脳を発達させる刺激として身体活動が必要であるということがわかってきました。手足や指、体幹およびそれらの運動をおこす筋肉や感覚からの神経刺激は脳につたわり、脳はその刺激に応じてつぎの指令を発するようになります。末梢からの刺激が脳を育て、脳からの刺激が末梢の運動を司ります。このような末梢と中枢神経系との連携を行うことによってからだと脳の発達が相互に影響されるわけです。近年では、いろいろな動作を上手にできない運動不器用の子ども達が増えている様子がみられます。これは末梢の運動と脳との連関が上手に機能していないことのあらわれです。運動は脳との連関の中でいろいろな神経回路を発達させ、その神経回路は単に運動する時だけでなく、生活や勉強、学習の機会にも直接的および間接的な影響をもつことになります。スポーツマンは我慢強い、集中力があるなど昔から教育の中で心身の両立が大切だとされてきました。近年では学力偏重の傾向があり、知識だけは豊富になりましたが、ものごとにたいする対処能力や課題解決に対する積極的な姿勢、困難に立ち向かう精神力などの面において、欠けたところが目立つ子どもが増加しているようです。極端なことをいえば、体力低下は学力低下を引き起こす要因ともなっているといえます。身体不活動の影響は、脳に対する影響ばかりでなく、肥満、糖尿病、高脂血症など、かつて成人にしかみられなかった病気への罹患率が高まり、生活習慣病の予備軍としての子ども達が多くなっています。現在学校では8〜10%の子ども達が肥満と診断され、このまま放置すると糖尿病や高血圧症、心臓疾患などの疾病を引き起こす危険率が大きくなっています。また、骨の成長には身体活動による物理的な刺激が必要であり、このような刺激がないところでは、骨の太さの発達が少なく、成人後の骨粗鬆症になる人の確立が多くなると思われます。
 活発な身体活動は、とくに乳幼児および幼児期から必要であり、幼稚園や保育園の時期に、活発な身体活動をおこなうことは、その時期の子ども達の体力を向上させるだけでなく、身長が急速にのびる思春期発育期に発育促進効果を持っていることが明らかにされています。近年の小学生では、昔ならば当然できたさまざまな運動遊びや運動技能の発達が低レベルであることが指摘されています。運動技能の発達という点からみると、小学生期は極めて重要な発達時期であり、ほとんど多くのスポーツでは、小学生期の運動技能発達の影響が強く、しかも体力の発達との相関が高いことがわかりました。小学生期には運動技能を発達させることが体力を発達させることに直結します。体力の発達と技能の発達はともに相関があるので、技能を発達させることによって自然に体力も発達すると考えられます。子どもの運動能力のうち、走ることは最も重要な基礎運動能力といえます。50m走では、7〜9歳での低下が顕著であり、子ども達は上手に走ることができなくなっています。
 自分の身体を上手に操作するために必要な腹筋や背筋を強める運動、腕や脚の筋力を強める運動、全身運動である走る運動などを取り入れた楽しい身体活動を、スポーツ活動や日々の生活の中で取り入れることがとても大切です。」

「子どもの体力低下」という問題設定は、きわめてわかりやすい表現であるが、実は、こうした言葉の用い方には問題点もある。子どもは発育発達期にあるので、年齢に伴って自然に体格は発育し、運動能力は発達する。すべての体力運動能力に年齢にともなう発達の様子は見られているが、14歳付近で発達の頭打ちになる体力要素と、14歳以後も発達を続ける体力要素とがある。女子では14歳以後で発達が見られない体力要素が多い。
14歳以後も男女とも体格(身長、体重)の向上はみられるものの、体力や運動能力の向上が見られなくなることが問題であり、特に14歳まで発達の割合が小さく、発達に伴うピークが低水準にとどまっていることに注目されなければならない。
「子どもの体力低下」は、正しくは「体力の発達停滞」「体力の発達不全」「体力の発達不良」とでも呼ぶべき現象であるということができよう。
子どもを元気に育て、身体活動の機会を増し、体力低下の傾向に歯止めを掛けることは、子どもの健全な成長を促す意味で非常に大切なことであるが、この課題を学校に任せきりにすることは、むしろ無責任であり、その限界もみえてきている。学校、家庭、地域が連携をとりながら、次世代を担う子どもたちを育てていかなければならない時代となっている。
文部科学省では、平成16~18年度に「子どもの体力向上実践事業」を展開した。北は岩手県から、南は沖縄県まで、32都道府県42地域、および北海道を含めた7つの特別地域で、子どもの体力を向上させるアイディアに富んだ活動について、3年間にわたって、1件300万円の補助金を毎年交付するという大規模な事業である。文部科学省から「子どもの体力向上」に関する補助金として、これほど大規模な助成が行なわれたことはかつてなかった。この事業を推進するために、文部科学省は「子どもの体力づくり実践協議会」を立ち上げ、私は、この実践協議会の委員長に指名された。大きな期待をもってこの事業の推進に当たった。こうした取り組みは、文部科学省始まって以来のことである。ようやく国レベルで、子どもの体力問題に真剣に取り組む姿勢が形成されつつあるといえる。

体力向上といえば、激しく汗水をながす1970年代の体力つくり運動を思い浮かべる人がいるかもしれない。しかし、今回のプロジェクトは、より幅広い範囲の活動をターゲットにして、学校と家庭と地域が取り組める内容を取り扱うことにしている。
この事業には、平成14年に立ち上げた日本発育発達学会のメンバーも数多く委員として参画している。こうした大きな予算措置を伴う子どもの体力向上に関わる事業は、教育委員会や学校、地域にとって経験がなかったことである。県や市町村レベルでの教育委員会を窓口にして、学校や地域およびスポーツクラブの独自の活動ばかりでなく、必ず大学などの高等教育研究機関と連携してプロジェクトを推進しなければならないということを、応募の際の条件とした。こうした事業は、教育現場の実践研究によれば、体力テストは実施するものの、いきおい「子どもがげんきに活動するようになった」「目をきらきらさせて楽しく運動に取り組むことができた」などという表現で評価されて終わってしまいがちである。きちんとした科学的な実証データを得ることを目的とするとともに、大学が子どもの体力向上実践事業に取り組むことがきわめて重要な意味をもっていることの動機付けとなることを期待したためである。

大学との連携
これらの実践事業の遂行には、地域の大学および高等教育研究機関と連携して事業を行うことが義務付けられているが、はたしてどの大学が協力してくれるかも大きな課題であった。結局は、大学というよりは、熱心な大学の先生がいるところの協力が得られることになった。この熱心な大学の先生方の存在は極めて重要である。この事業での共同活動によって、大学と地域との交流がはじめて可能になったというケースも珍しくなかった。市町村にとって、大学は遠い存在であったし、大学の先生との交流もほとんどなかったということが実情であった。
これまでは縁の薄かった大学と地域との関係が、この機会を通して密接に連携できるようなレベルに改善されると共に、大学の研究スタッフが実際の子どもたちの生活活動する実践の現場の様子を捉え、子どもを研究の対象としてとらえてもらうという意図も効果を発揮しだしたようである。
これらの地域における「体力向上実践プロジェクト」によって、何が期待できるかという設問に対して、第一に「学力の向上が期待できる}という回答が28地域から寄せられている。
子どもの体力を向上させるプロジェクトで一番期待されていることが、「学力の向上」ということは、一見矛盾しているかもしれない。しかし、教育に携わる現場では、意欲、集中力、粘り強さ、物事への積極的な取り組みの姿勢が、体力というものと密接に関係すると予感しているのである。その予感を実証的な事実として把握していかなければ今後の展開に科学的な根拠とならない。
「学力の向上」につづいて期待される効果が、あいさつやボランティア活動、社会的活動に参加することへの期待で、11地域で挙げられている。また、「問題行動の減少」期待するとした地域が6地域あった。こうした問題は、「体力向上」と直接関係するものではないが、運動をして体を動かすこと、みんなと行動したり遊んだりすること、社会的な活動によって、社会性が育成されることなどへの期待と考えられるべきであろう。子どもの体力向上プロジェクトは、「からだを使った活動を実践するプロジェクト」として理解されることによって広く現場では受け入れられ易いようである。


こうした取り組みには、著しい効果が見られたものと、効果がはっきりしないものとがある。そうしたデータをきめ細かに分析しながら、これからの「子どもの体力つくり実践事業」を発展させる努力を継続していくことが大切であろう。地域、学校、家庭 そして大学との連携が、このプロジェクトが実施された3年間を通じて確実に機能し始めたということが、毎年行われる全国報告会の様子から感じられた。1年目は、何かしらギクシャクして意思の疎通がうまくいかない場面もいくつかあった。文部科学省では、新しい体力向上のプログラムが生み出されることを期待しているが、実際には現場でのアイディアの硬直化が感じられることが少なくなかった。なぜならば、これまで文部科学省は、教育方針の「伝達」ということで、教育委員会に対して多くの教育内容の指導をおこなってきた。つまり、「文部科学省の定めた方針を受け入れる」という態度が教育現場には染み付いてしまっているのである。これを「地域からの自発的な発想に基づく活動へ」と転換するためには、新しい仕組みや考え方が必要なのである。アイディアを生かして子どもたちを元気に育てる、ということがこのプロジェクトの真の狙いであり、その潜在的能力は、地域社会にあるということをお互いが気づき、自覚することによって、このプロジェクトがもつ大きな意図がより大きな効力を生み出すことになると考えられる。
平成19年2月に3年間の成果発表会が行われた。その成果は、体力が低水準の子どもたちの体力の向上はもとより、生活習慣の健全化、「学力の向上」に注目する地域が多かったし、学校と地域と家庭の連携が取れるようになったことを思いもよらぬ成果とする地域もあった。ある意味では、狙いどおりの展開が開けてきたという感じがした。子どもを取り巻く環境についても、改善の兆しが見えてきた。子どもを大切にしようという機運が高まってきたことが、何よりも大きな収穫だということが出来よう。