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認知動作型トレーニングの基本となる動作の組み立て(立体幾何学)

スポーツ動作に限らず、運動に関する動作がどのような図形を描くことによって成り立っているのかを、空間的に理解しておくと、動作を身に着けつける助けになる。例えば、合気道の技は、多くの場合「円」を基本とした動作で成り立っており、「大きな円」「小さな円」「ひねった円」「螺旋形のような円」を描くように技をかけると、相手はスムーズに技の中で身をこなすことができる。「円」といっても必ずしも「一周を描く円」の軌道とは限らない。「円弧」の一部であったりする。
難しい動作の場合も、どのような図形の組み合わせによって成り立っているのかを考えてみるとよい。
そこには、技に上達するヒントが隠されている。このことは、リハビリ(機能訓練)をする場合にも効果的である。認知動作型トレーニングマシンは、動作を基本的な幾何学的要素に分解した結果をもとに、それらの要素を合理的な形に再構築するという発想で製作されている。
スポーツ動作の上達法スポーツ技能の上達法
スポーツ技能に上達するためには、脳の知的高次機能を働かせることが効果的である。認知動作型トレーニングは、動作を立体的な幾何学的イメージに置き換えることによって。脳内での動作イメージを描きやすくする内容を持っている。認知動作型トレーニングマシンを用いる場合には、イメージと実際動作をマッチングさせる働きを高めることができる。頭でわかっている動作が実際にはなかなかできない、ということはよくある現象である。
こうしたギャップを埋める方法の一つが、認知動作型トレーニングの大きな利点である。


動作の要素動作の要素
動作の要素を分解すると、①円または円弧(円の一部)を描く動き、②直線的な動き、③回転する動き、④螺旋的または捻りを伴った動き、⑤これらの動きが軸の移動や支点の動きを伴った複合的な動き、の5要素になる。
軸や支点の動きも、固定点を持つ場合と、移動する場合があり、移動する場合には、軸や支点そのものが、①~④の要素をもっている。
あらゆる動きを、このような動作要素に分析して考えてみると、新しい発見をすることができる。


1上達法コンセプト1(まとめ)
(a)「スポーツ動作は、基本的な幾何図形の組み合わせから成り立っている」という視点で動作の要素を分析する。 (b)それらの要素を立体幾何学的に再構築して、より合理的なスポーツ動作を形成する。(c)脳内に図形的に動作イメージを想起することが大切。


1上達法2コンセプト2(幾何学的動作を行う場合には、体幹部の活用が有効)
(a)従来のスポーツ動作を、体幹部(腰、腹、胸、肩部)をより有効に生かした動作として修正する。(b)体幹動作意識を高め、体幹深部筋の活用強化と体幹深部感覚の活性化を図る。


1上達法3コンセプト3(幾何学的な動作を生み出すためのパワー系)
(a)体幹および四肢の筋パワー発生系次のように分類する。
①大腿パワー系、②骨盤パワー系、③長軸体幹パワー系、④斜軸体幹パワー系、⑤肩関節パワー系、⑥上腕パワー系、⑦前腕・手部パワー系、⑧下腿・足部パワー系  (b)体幹のパワー系を重視する


1上達法4コンセプト4(幾何学的な「円」の動きを生み出す身体の回転系)
(a)脊柱を中心とした体幹の回転・回旋動作を次の系に分類する。
①頸椎回転系(頭部・首)、②肩甲骨・胸椎回転系(肩・胸)、③胸椎・
腰椎回転系(上腹部)④骨盤・腰椎回転系(下腹部)、⑤股関節回転系(大腿)


1上達法5コンセプト5(幾何学的な合理的動作を生み出すための神経系)
(a)同側動作性神経コントロール機構を有効に生かした「同側型動作」を大切にする。(b)特に「膝・腰」の同側型動作を重視する。


1上達法6コンセプト6(幾何学的な動きを再認識できるトレーニング方法)
歩行やランニング動作をはじめ、様々な合理的な体の使い方を身に着けるためには、動作学習のためにトレーニング用器具が様々工夫されているが、認知動作型トレーニングマシンは、動作学習型のトレーニングマシンという性格を持っている。合理的な運動動作をトレーニングすることは、健康な体を作るうえでも非常に効果があることが理解できてくる。


1上達法7コンセプト7(幾何学図形を描く基本的な運動は、八の字を描くことである)
体軸を中心とした八の字(∞)を描く動作を滑らかに行うことができるようにする


1上達法8コンセプト8(基本的な幾何学運動要素は骨格を動かすことからきているので、骨格を動かす意味で、体幹深層部の筋群を有効活用することが必要である)
代表的な体幹深部筋には、次のものがある。
①脊柱起立筋、②腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)、③内転筋、④その他:骨盤と大腿を結ぶ筋群、および肩甲骨と上腕骨を結ぶ筋群。


1上達法9筋電図スプリントコンセプト9 スプリントトレーニングマシン動作中の筋電図
スプリントトレーニングマシンは、すり足動作(直線往復運動)とペダルの回転運動(円運動)の組み合わせである。この動作を行うためには骨盤内の大腰筋や腸骨筋(あわせて腸腰筋)を活動させることが有効である。腸腰筋の活動は、針電極を用いて確かめられた。
スプリントトレーニングマシンを用いた時の筋電図。
筋電図は、針電極を用いて導出された。福井大学吉澤正伊教授の研究室で記録された。腸腰筋や梨状筋などの活動がみられる。


1上達法10筋電図車軸移動式パワーバイクコンセプト10 車軸移動式パワーバイク動作中の筋電図
車軸移動式パワーバイクは、楕円軌道をペダリングする動作であり、スプリントトレーニングマシンと同様に、腸腰筋など骨盤内部の筋群の活動が必要である。
車軸移動式パワーバイクを用いた運動中の筋電図は、針電極を用いて福井大学吉澤正伊教授の研究室で記録された。梨状筋、腸腰筋、大内転筋などの活動が盛られる。