十坪ジムで行われる認知動作型トレーニングでは、普段あまり意識されることが無い「体幹深部の筋群」を活動させる運動を行うことが特徴であるといえる。一般的な筋力トレーニングでは、おもりや抵抗負荷を用いて身体の表面(皮膚に近い部分)に存在する筋群(浅層筋)の働きを強くしたり、筋肉を太く、大きくすることがめざされている。認知動作型トレーニングでは、一般的な筋力トレーニングではあまり注目されないが、様々な体の動きを作り出すうえで重要な筋群(深層筋)の働きに注目している。健康を保つ基本となる姿勢の保持や、日常生活活動を支える「背骨」、「骨盤」、「股関節」、「膝関節」、「肩関節」の働きをになう筋群をトレーニングの中で働かせるような運動動作を取り入れることによって、しなやかな動きや、姿勢が美しく健康な身体が作られ、保持されることを目指している。
浅層筋と深部筋(深層筋)一般的な筋力トレーニングは、体の表面に近い筋群(浅層筋)を太くたくましくすることがめざされるとともに、体力の低下と結びつけた「筋力低下」を予防し、回復させることが意図されている。認知動作型トレーニングでは、体幹深部にある筋群(深部筋)の衰えを防ぎ、活性化することが意図されている。深層筋の代表的な筋肉として、脊柱起立筋、大腰筋、腸骨筋、梨状筋、大腿方形筋などがあげられる。
大腰筋
大腰筋は、体幹深部筋の代表的な筋肉で、近年では知名度を上げている。
大腰筋は腰椎(5つ)のそれぞれから生じているが、最も上部は第12胸椎から生じて、骨盤の中を通過し、大腿骨の小転子に付着している。背骨と脚の骨(大腿骨)を結ぶ大きく長い筋肉で、その太さは握りこぶしほどである。スポーツの選手では、大腰筋が太いほど短距離走などに優れている。
大腰筋が弱ると寝たきりになりやすいという指摘もある。
腸骨筋
腸骨筋は、骨盤の内側の広い部分から生じて、大腿骨の小転子まで伸びている。骨盤と大腿骨を結ぶ筋肉として重要であるが、小転子に付着するあたりでは大腰筋と一緒になる様子から、大腰筋と腸骨筋を合わせて「腸腰筋」と呼ばれている。
腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)と骨盤・股関節周辺の筋肉
骨盤と大腿骨を結ぶ筋肉には、腸腰筋の周辺に恥骨筋、内転筋、骨盤と脛骨(下腿骨)を結ぶ筋肉として、薄筋、縫工筋、大腿四頭筋、ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称)などがある。
梨状筋
梨状筋は、骨盤の仙骨と大腿骨の大転子上縁を結んでおり、大腿を外旋・外転させ、脊椎(背骨)を伸展させる役目を持っている。梨状筋は、「深層外旋六筋」と呼ばれるものの一つである。「深層外旋六筋」とは、梨状筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋の6つである。
梨状筋拡大図
外閉鎖筋
外閉鎖筋は、恥骨と大腿骨を結んでおり、大腿の外旋を行う。
上双子筋 下双子筋
細い筋であるが、内閉鎖筋を補助する役目を持つ。
大腿方形筋
四角い形をしていることから方形筋と呼ばれる。強力な外旋筋である。
長内転筋 大内転筋 短内転筋
内転筋には、長内転筋、大内転筋、短内転筋のほかに小内転筋があるが、大内転筋の上部に不完全に分かれているので、区別がつかないこともある。
いずれの筋も、股関節の内転に働く。股関節の開閉運動のうち、股関節を閉じる内転運動は、骨盤内部への刺激としても重要な役割を演じる。
大腿部の筋群の横断面図
大腿部の横断面を骨盤のもっとも低い位置で見てみると、大腿四頭筋(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)、ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)、縫工筋、薄筋のほかに、内転筋(大内転筋、短内転筋、長内転筋)の占める割合が大きい。
認知動作型トレーニングでは、捻り動作を伴う運動で、内転筋の働きを重視している。