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「良い姿勢」から「良い歩き」へ 健身塾体操(その3)

「良い姿勢」から「良い歩き」へ  健身塾体操(その3)

「良い姿勢」から、少し体を緩めて、「良い歩き」の姿勢を練習します。
「良い歩き」の姿勢とは、腰を足に乗せて美しく歩くための姿勢です。
1.初めの一歩
1)「良い姿勢」から、右足を一歩前に出し、その足の上に右腰が乗るように、腰を伸ばすように骨盤を右に軽くひねりながら、右腰を前方に移動させる。この時、前足の足首、膝、右腰、右腕のつけ根(脇の下)、が鉛直の一直線の軸になるようにする。(「右体軸」姿勢)
2)「右体軸」姿勢から、骨盤の横幅が広がるように左側(後ろ側)の骨盤を斜め後方に引き上げる。(「骨盤を開く」)。体重は前足にかける。
3)胸郭の前面を左右に押し広げるようにする。(「胸を開く」)。
4)喉元の鎖骨の部分を斜め上方に引き上げ、下顎を斜め前方に引き上げた姿勢で、後ろ頭(頭頂)を上方に糸で引き上げられたように意識して、後ろの首筋を伸ばし、高い音階の声で「イー・・・・」と発声する。(「イー・・」の姿勢)
5)後ろ足を前に運んで、両足をそろえる。

2.第2歩目(反対足の一歩)
1)両足をそろえた「良い姿勢」から、左足を一歩前に出して、骨盤を斜め前方に移動させ、左腰をのせる。(「左体軸」姿勢)
2)「骨盤を開く」
3)「胸を開く」
4)「イー・・」の姿勢
5)後ろ足を前に運んで、両足をそろえる。
良い姿勢から、腰を乗せ、前に進む動作が2回出来たら、後方に移動する動作を行う。

3.後ろへの一歩(後ろに移動)
1)右足を一歩後ろに移動させ、右腰を後ろ足の鉛直線の軸に乗せ、「右体軸」姿勢で体重を支える。
2)「骨盤を開く」、「胸を開く」、「イー・・」の姿勢をとる。ただし、後ろに進むときは、「イー・・・」は発声しない。
3)左足を後ろの運び両足をそろえる。

4.第2歩目(後ろに反対足の一歩)
1)左足を一歩後ろに移動させ、左腰を乗せ、腰を開き、胸を張って胸骨をやや上向きにして「左体軸」姿勢を保つ。
2)右足を前から移動させて両足をそろえ、「良い姿勢」に戻る。これを2回繰り返す。

5.「良い歩き」の練習
1)「初めの一歩」の練習では、「良い姿勢」から右足を一歩出して「右体軸」姿勢を取り、つぎに両足をそろえて「良い姿勢」に戻り、2歩目では反対側の足を出して、「左体軸」姿勢をとった。
2)歩行動作の基本は、「右体軸」姿勢で確実な片足立ちバランスをとり、次に「左体軸」姿勢で確実な左足で片足立ちバランスがとれることが理想である。したがって、一歩、一歩が右足バランス、左足バランス、の繰り返しであると考える。
3)「良い歩き」の練習では、「はじめの一歩」から2歩目に進むときに、両足をそろえる姿勢を取らずに、反対足をそのまま前に出す歩行動作を行う。この時、「右体軸」から「左体軸」へのスムーズな移動を行い、片足立ちができるような体軸形成を行うようにする。
しかし、「右体軸」姿勢から、「左体軸」への動作の切り替えが難しい。この切り替え動作が、練習のポイントになる。
4)「右体軸」から「左体軸」への切り替え動作
右足バランスとは、「右体軸」姿勢が楽にとれる姿勢のことである。良い姿勢から、右足を一歩出して右腰を乗せ、体重を完全に右脚に乗せる。この時、右手を少し前の出し、手のひらを下に向けて、手首に近いところで、地面に向かって力を入れるようにして腰を伸ばす動作をすると、しっかりした右足バランスが取れる。
次に、体重は右足にしっかり乗せた状態で、左足を前に出して、かかと着地し、膝と腰を伸ばすようにして、左腰を移動させながら体重を左足に移して、「左体軸」姿勢をつくる。この時、左手の手首をやや曲げるようにして肘を伸ばしながら地面を押す動作をすると、腰をのばしやすく、腰高の姿勢をとることができる。左腰を伸ばして体重を前に移動させる動作では、後ろ足(右足)のかかとが浮いた状態にする。
このようにすると、無理に腰を回転させなくても自然のうちに腰が回転して、腰の伸びた「良い歩き」の姿勢が取れるようになる。
5)ナンバ型歩きから普通歩きへの切り替え
「右体軸」から「左体軸」の移動は、体軸の移動なので、腕の移動は腰や体幹の移動方向と同じである。この動きは、手と足が同じ方向に移動する「ナンバ型」の動きである。
この「ナンバ型」の腕の振りを、意識的な働きで、普通歩きに腕の振りに切り替えるように練習する。この動作では、肩甲骨の動きを柔らかくして、体幹の動きを別方向の動きにするとよい。多くの人では、肩甲骨と体幹の動きを逆にするという動作ができにくい人が多い。その場合は、両腕を真下にたらして、練習するとよい。
「良い歩き」の基本を解説すると、体幹はナンバ歩きの動きを保ち、腕の振りだけを普通歩きにするということである。これが、「大腰筋ウォーキング」であり、「コアストレッチウォーキング」の極意である。

6.同側同側動作型神経支配の活用
「良い歩き」は、体幹深部筋である大腰筋や腸骨筋など、本来姿勢を保つために使われている「姿勢保持筋」を運動に積極的に活動させようとする歩き方である。したがって、「良い歩き」では、姿勢保持筋を有効活用させるために必要な神経系の働きが必要である。
この神経系の働きを、「同側動作型神経支配」と呼び、通常は、武道などの技の基本を形成している。通常の歩行動作は、「斜体側動作型神経支配」(足と手は左右が別)が優位であるが、「良い歩き」では、体幹部(骨盤の動き)に「同側動作型神経支配」(膝腰を同じ方向に動かす)を用い、腕(手)の動きには「斜体側動作型神経支配」を生かす、ということになる。
これは難しいことのように思われるかもしれないが、歩き始める幼児の歩行動作は、「同側動作型」であることから、誰にでも備わっている神経支配であり、普段の生活であまり使われていないだけのことである。運動することに備わっている基本的な神経支配であると考えるとよい。

写真入りの解説は、次のサイトをご参照ください。
青山優子の美容歩行テクニック