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藤沢本町の健身塾 痛みを緩和する運動指導

藤沢本町の健身塾  「痛みを緩和する運動指導と身体トリート」 (講演形式の解説)
                      小林寛道
健康寿命を延ばすために運動を行うことが必要であることは、多くの人に認知されるようになりました。しかし、「どのような運動を行えばよいのか」「どこで運動をすればよいのか」ということに関しては、多くの人がそれぞれの考え方を持っているので、千差万別です。
いろいろな健康増進法があってよいと考えていますが、私なりに研究してきた過程で、ある程度の自信をもって人にお勧めできる運動の方法が「認知動作型トレーニング」です。
認知動作型トレーニングは、体操(柔軟性)、歩行(歩き方)、マシントレーニング(認知動作型マシン利用)の3本柱で組み立てられていますが、実際には、これらを総合的に用いる方法がよいと考えています。
 しかし、これまで、多くの人たち(数万人)の人たちの指導を行ってきた経験から、実際には、体に痛みを持った人たちが非常に多く、痛みに耐えながらスポーツや日常の生活行動を行っているということがわかってきました。
痛みの箇所は、腰、背中、股関節、膝、肩と様々であり、酷いときは痛み止め薬の服用や、整形外科での検査、整体院への通院などが行われていることが普通です。けがやぎっくり腰、四十肩、五十腰、といわれる年齢に伴う組織の弱りを理由にした身体の痛みを持つ人も少なくありません。
 そこで、十坪ジムや健身塾に参加している会員さんを対象に、痛みの原因となる個所に対処して、ストレッチや指圧の手技をくわえてみると、驚くほど痛みが軽減したり、関節の柔軟性が向上したり、体が軽くなったりする、という現象がみられるようになりました。
整形外科で検査し多少の異常所見がみられる場合でも、その後の 医学的処置に疑問を持ったり、手術を回避したい、という人もいます。また、様々に整体院に通った経験を持つ割に回復が思わしくないというケースもあります。痛みについては、主観的な部分が大きいのですが、痛いからと言って体を動かさないでいると、体が弱ってしまい、動けなくなるという心配を抱えている人も少なくありません。
 私は、運動指導の専門家として、「痛みを緩和する運動指導」や「身体ケア」「身体トリートメント」を正しく行うことができるような運動施設兼治療施設が必要であると考えて、健身塾(藤沢本町)を開設しました。健身塾藤沢本町では、理学療法士の資格、および鍼灸・指圧・マッサージの国家資格を持つ眞霜総(マシモ サトル)師が実際の施術を行います。眞霜師は、認知動作型トレーニングマシンを有効に利用する方法を身に着けており、「痛みを緩和する運動指導」や「身体ケア技術」の指導に優れた技量を発揮してくれています。健身塾フジサワ(藤沢本町)

2.痛みを緩和する運動のノウハウ 「合気道との出会い」
 私は、35歳から合気道の練習を開始しましたが、合気道の技には、非常に優れた体の神秘に通じる内容が多く含まれています。その多くの神秘ともいえる技の内容を分かりやすくマシントレーニングに取り入れてあるので、認知動作型トレーニングは、合気道の技なしでは生まれなかったということができます。そこで、合気道の技を参考にしながら、痛みを緩和する運動の内容を解説することにします。
 私は、45歳から62歳まで東大駒場の教養学部で「スポーツ身体運動(体育実技)」の授業の中で、「合気道」を指導していました。
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写真説明:4年間合気道の授業を受講した東大の女子学生(ARAKIさん)(これまでに指導した中で、きわめて優れた合気道の素質を持った学生. 最初に手合わせをした瞬間に異質な才能が感じられた。後に、母方のご先祖は、元江戸幕府将軍家の剣術指南役〇〇之守であったことを知る)
合気道の技は、明治維新前までは、会津藩士のための藩外不出のお留め置き技として、会津藩士限定の武術であったのですが、明治時代に廃藩置県が行われ、会津藩最後の家老であった西郷頼母の英断により、藩外にもその技が公開され、武田総角という師範が全国に指導に出向きました。その過程で、植芝盛平師(合気道創始者)との出会いがあり、今日の合気道に発展してきているという歴史があります。そのため、合気道の本質的な技には、武士の用いる必殺技系のものが含まれています。戦前の技はあまりにすごすぎるので、第二次大戦後の合気道は、女性も親しむことができるように技の内容を変化させてきているということができます。私は、合気道をフランスにも広めて国際化に尽力された本部道場師範の山口清吾九段(当時八段)(植芝盛平師の高弟の一人)に直接指導を受ける幸運に恵まれました。
ちなみに、私が客員教授となっている武蔵野大学では、それまでの「健康体育の実技授業」を2020年から「スポーツと身体科学」と改名し、受講学生全員に座禅、ヨガ、筋トレの受講に合わせて、スポーツコースに本部道場の推薦する師範による合気道の授業が取り入れられています。
小林合気道4全体写真 (2)
写真説明 東大教養学部のスポーツ身体運動(体育実技)での合気道授業の一コマ

3.締め技をかけられたときに、力を入れて抵抗すると痛みは耐えられないほどの激痛となる。
合気道の締め技には、様々ありますが、最も強烈な締め技が「第二教」の締め技です。
第二教というのは、四つの基本的な教え(第一~四教)、の第2番目の教えという意味で、相手を制する締め技のうちの一つです。腹ばいの姿勢で、肘を後ろ手に曲げて絞り上げる技です。この技をかけられると、その激痛のために「生きた心地」がしないほどになります。そして、逃げようとして腕に力を籠めようとすればするほど、激痛が走り、息ができなくなり相手に降伏せざるを得なくなります。
しかし、ここで力を抜くと、痛みを感じなくて済みます。したがって、筋肉に力をこめずに、肩の力を抜き、脱力を行うことによって息もできるようになります。
力を抜いて、自分の体を守る術がここにあるわけです。
痛みは、力を入れた筋緊張の状態を作ると強くなります。したがって、体の力を抜いて動きを作ることが秘訣の第1となります。認知動作型トレーニングでは、力まずに力を抜いた状態で運動ができるようにトレーニングしていきます。
4.オーバーストレッチの状態から痛みを緩和していきます。
通常のストレッチ体操やストレッチを伴う運動では、痛みを伴うような関節可動域を引き延ばすことは、「オーバーストレッチ」といって危険なストレッチとされています。しかし、合気道の技では、関節の動きの方向にひねりをくわえたり、関節をさらに引き延ばすような動きをくわえて、「オーバーストレッチ」を加え、相手が力を発揮できないような状態に持っていきます。この「オーバーストレッチ」の方向性に逆らうと猛烈な痛みを生じるとともに、ケガの原因にもなるので、受け身を取る人は、オーバーストレッチの方向に逆らわないように、身を守ることになります。これが受け身の取り方の基本技になっています。
私は、この「オーバーストレッチ」の原理が、体に痛みを持つ人に優れた緩和効果を持つと考えており、上手に「オーバーストレッチ」する刺激をくわえることによって、「痛みが消えた」という事例を多く経験しています。
「オーバーストレッチ」が特に有効なのが肩関節や腰の痛みです。肩関節では、腕が上がらないような人や、腕を挙げても耳につけることができないような人でも、腕全体を引っ張る形で「オーバーストレッチ」し、指圧の刺激をくわえることによって、短時間に痛みは著しく改善します。
その原理は、肩関節の接合部(関節や骨の隙間)を浮かして隙間(すきま)を作りストレッチするのですが、実際に行う場合には、引っ張る方向や、ひねりの加え方、および指圧をくわえるポイントでの強さや力の方向の加減などが非常に重要です。この辺りは、かなりの習熟が必要ですが、原理的には、「オーバーストレッチ」の原理を用いることが、痛み緩和法の秘訣の第2ということになります。
5.股関節と骨盤の柔軟性の向上およびそのストレッチ
膝や股関節周りの痛みは、股関節や骨盤の柔軟性とも密接に関係しています。このため、できるだけ骨盤の動きや股関節の多方向への動きの自由度を高めるようにします。
腰の痛みは、脊椎と骨盤がどのような形で固まってしまっているかに大きく影響されています。
このため、脊椎はできるだけ一つ一つの椎骨(頸椎、胸椎、腰椎)が緩く動くように、骨の周りの組織を柔らかくしながらトレーニングしていきます。骨盤は、股関節との関係で、大腿骨の骨頭が丸くなっているように、骨盤の多方向への動きの自由度を増すようにしていきます。また、仙腸関節(仙椎と腸骨を結ぶ関節)が動くようにトレーニングしていきます。そのためには、立位姿勢の体操も重要ですが、多方向への角度変化や股関節を引き延ばすことができるような脚用アームを取り付けた、ベッド移動式トレーニングマシンを利用します。
 このトレーニングベッドは、もともとは、カール・ルイス選手のトレーナーが用いていたPNFの手法を用いていたストレッチ法にヒントを得て小林が作成したもので、このベッドの利用によって、股関節と背骨の運動が極めて有効に行うことができるようになり、身体ケアや身体トリートメントに大いに役立っています。特に腰椎と仙椎の接続部分あたりにポイントがあるように思います。
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合気道の技に対して、ベッド移動式マシンで用いる技は柔道の寝技やレスリングの足技に相当するもので、体幹下部の筋力強化にも有効です。しかし、基本は、体幹部のストレッチマシンで、様々なポージングになかで、指圧をくわえていくことによって、体が柔らかくなってきます。痛みや引っ掛かりがある場所では、組織が硬くなっているので、触ってみればすぐにわかります。その固くなっている部分に周りから指圧やほぐし効果を持つ刺激をくわえていくと、痛みが短時間のうちに緩和される場合が多くあります。また、痛い部分には、必ず現象(硬直や腫れ)などがあるので、慎重に対応していくことによって改善がみられるようになります。何年も続く慢性的な痛みを持った人でも、ケロッツと改善したりするので、驚かされることも少なくありません。
6.脳からの抑制信号で痛みの反射を抑制する
痛みは、その感覚が脳に達して感じるという内容のものがあります。「脳が痛くないと感じるように」という意識を持つと、痛みが軽減することがあります。これは、痛みは、ある種の感覚反射的な要素を持っており、痛いと感じるだけで筋肉に緊張が生じ、力が入り、痛みを強く感じるという仕組みです。そこで、痛みが生じても痛み反射を抑制する脳の働きを機能させると、筋の緊張が抑制され、痛みの感覚が軽減されるのです。痛ければ、筋が緊張しないように脳が抑制信号を出すことが有効であるといえます。そのためには、筋や神経をリラックスさせるという心の働き(自己コントロール)が求められます。
7.リンパ節の活性化およびリンパの流れの滞りをなくす運動や指圧マッサージ
股関節には鼠経リンパ節があり、脇の下には腋窩リンパ節があります。リンパは体を守る防御壁になっているとともに、リンパ液は毛細リンパ管を通って、体の様々な部分で免疫効果や細菌など異物と戦っています。組織液の一部が毛細リンパ管にはいり、下半身のリンパは、リンパ管を通って、乳び槽から胸管に合流して体をさかのぼり、首の下あたりにある静脈に流れ込んでいます。
このリンパの流れは血液よりはるかにゆっくりしたものですが、リンパの流れが円滑でない体の部分では、指で押してみると痛みを感じることがあり、その痛みの周辺は固く、組織の柔らかさが失われています。この場合、毛細リンパ管内のリンパの流れが良くなるように指圧したり、ストレッチをくわえます。リンパ管には、浅リンパ管と深リンパ管があり、血管に沿って体の下から上に移動していますが、深い部分のリンパ管には触れることができないので、体の動きを通して、血液の流れをよくするのと同じ考えで、リンパの流れを促進させるような下半身や体幹の運動を行います。股関節を開脚して、膝や大腿骨をいろいろな方向に動かして股関節の可動域を広げることが有効です。腹部や腰の運動も非常に重要です。静脈の血液やリンパの動きは、周辺の筋肉や組織が収縮したり、弛緩したりすることによって、組織自体にポンプ作用(ミルキングアクション:乳しぼりのような効果)が起きます。
体に痛みがあるときは、このリンパの流れをチェックしてみて、その原因がどこからきているかを感じ取ることが有効です。首(頸リンパ管)、上肢・腋窩リンパ管、肺・縦隔リンパ管、腸リンパ管、などいろいろな名前がついていますが、リンパの流れを意識に入れた体の運動をすることによって、体が軽くなり、視界が突然よくなって、明るくなった、などの急性的な効果もよく起こります。
脳の働きがクリアになると、瞳の輝きが変わるので、すぐに変化を読み取ることができます。
9.首の牽引とストレッチ
肩こりや頭痛を持っている人の場合、あおむけに寝て頭蓋骨を体から離すように、施術者が両手の指で首を牽引するようにすると、頚椎と首との間に隙間ができます。また、首の周りの筋や腱にストレッチ刺激が生じます。さらに、首の牽引の方向を微妙にずらしてひねりの刺激を加えると、どの部分が一番固くなっているかがわかります。そこで、固くなっている部分に指の圧力を加えてみると、その圧力が「気持ち良い」「痛いけれど気持ちが良い」「痛いだけ」の3段階に分かれます。
「痛いけれど気持ちが良い」は、「痛キモ」と表現され、効果が期待できる感覚です。
首の牽引動作をすると、鎖骨についている筋群が牽引されます。首の筋肉で最も有名なのが「胸鎖乳突筋」ですが、斜角筋(中・前・後)など多く筋があります。
首の痛みや頭の痛みなど、軽減することがよくあります。
リンパの流れを促進させると、鼠経リンパ節、腸リンパ節など、下半身からのリンパ液が上行して上肢・腋窩リンパ管の接続部に入ってくるので、下半身のリンパの移動を促進させた後には、必ず胸骨の左右の部分で、腋窩リンパ節に通じるルートを指圧マサージして、リンパ液を静脈にドレイン(流しだす)ように誘導します。鎖骨およぶ肋骨の骨の隙間を胸骨の方向に指圧マッサージすると、効果を得ることができます。
10.膝裏の指圧マッサージ
膝の裏には中央にくぼんだ所があります。この部分を膝窩と呼んでいます。膝窩にはリンパ管や血管が通っている様子をじかに触れるます。昔から、膝の裏は「急所」の一つとされ、死にかけた人も生き返るなどといわれるほど、重要な箇所です。ここから下腿部にかけては、ふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋(総称して下腿三頭筋)などがあり、アキレス腱を形成しています。膝の痛みを訴える人は非常に多いのですが、膝の表側の筋群(大腿四頭筋など)をしっかり緊張させたり弛緩させたりする運動を行うとともに、膝窩周辺への指圧マッサージが非常に効果的であることが少なくありません。
11.足裏のマッサージ
足の裏には、様々なツボがあり、昔から「足裏健康法」といって民間療法では普及してきています。特にドイツでは足裏のツボを刺激することが普及しているようです。足の裏を指圧マッサージすると、妙に痛い部分があり、そこが内臓との関連で悪いところとされています。
日本では、竹踏み運動といって、竹を縦割りに2分し、床において、竹の丸い部分で土踏まずの部分を刺激する足踏みする健康法は、今でも普及しています。私が子供の時は、腹ばいになった祖母の土踏まずの部分をその場足ふみのような要領で踏みつけるマッサージをするのですが、土踏まずに対して90度の角度で自分の土踏まずを祖母の土踏まずに乗せるように求められました。この足裏ふみは、小学校の低学年ぐらいまで行ったように記憶しています。
認知動作型トレーニングマシンでは、この足裏マッサージの効果を高めるために、大股ストレッチマシンの局面の部分に、竹を縦割りにした形の踏み棒を20㎝間隔に並べて、竹踏み運動の刺激効果を高めています。足裏で痛い部分は、その横棒に乗って、体重のかけ具合を調節すると、自然に足裏の刺激が内臓に伝わるという原理を生かしています。
かまぼこ型大股ストレッチマシン oomata
写真説明:左:竹踏み運動の原理を生かした「踏み棒」を備えた大股ストレッチマシン(名称:かまぼこ型大股ストレッチマシン) 右:円滑な表面の大股ストレッチマシン (股関節の柔軟性を向上し、鼠経リンパ節をはじめとするリンパの流れを活性化するための重要なトレーニングマシン)
健身塾藤沢本町
                                (この稿は完)