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リハビリマシンとしての認知動作型トレーニング

リハビリマシンとしての認知動作型トレーニング
脳卒中をはじめ、脳血管疾患に伴う症状として半身不随などがある。発症後の医学的治療はできるだけ早期に行うことが必要であるが、リハビリも治療の一環として早期から行われるようになった。しかし、急性期を経て6か月が経過すると、安定期とされ、それ以後の治療は、疾患者の自身の行動に任されている。6か月が経過したのちのリハビリには個人差があり、医学的治療もあまり効果がみられない場合が少なくない。半身不随や体の一部が神経麻痺のような状態になっており、身体を自由に動かすことができない場合が多い。発症から6か月経過後のリハビリ運動は、現状から一工夫される必要があると考えられる。慢性期とされる症状を持つ人(約100万人と推定される)に対するリハビリ効果を持つトレーニングマシンを認知動作型トレーニングマシンの中に位置づける必要性を感じて、リハビリ用マシンの開発にも取り組んだ。
リハビリ用舟漕ぎマシンリハビリ用パワーアシスト付き舟漕ぎマシン(腕の舟漕ぎ動作)
握り棒(オール)を両手、または片手で握り、オールの動きに合わせて、腕と体幹部を動かす。オールは、あらかじめ設定された運動範囲で、動力装置によって自動的に前後に周期的な往復運動を繰り返す。オールの動きに対して、利用者は力を発揮せずに体を任せて動かすだけで良い。利用者が自分でも力が出るようになったら、オールの周期的な動きに対して抵抗力を発揮してもよい。オールには、あらかじめ設定した力が組み入れられているが、それ以上に利用者が強い力を加えた時は、オールの自動的運動速度が変化する。利用者がオールに発揮した力の強さに応じて、前方の取り付けてあるランプ表示の色が変化する。


リハビリ用パワーアシスト付き舟漕ぎマシンリハビリ用パワーアシスト付き舟漕ぎマシン(ペダル踏み込み型舟漕ぎマシン)
漕艇競技のボートのように、脚の伸展・屈曲と腕のオール漕ぎを組み合わせた舟漕ぎマシン。


リハビリ用脚伸展屈曲マシン・丹田君リハビリ用パワーアシスト付き脚伸展・屈曲マシン (愛称:丹田君)
両足をペダルにのせて座位姿勢をとる。ペダルアームが自動的に設定された速度や負荷力をもって膝が屈曲させるように近づいて来るとき、下腹部に圧力が加わる。この下腹部は臍下丹田を意識化してくれる。ある程度膝が屈曲された後に、膝の伸展を行うが、この時、自発的に臍下丹田に軽く力を込めて脚伸展力を加える。


リハビリ用スプリントマシンペダルローラー付きリハビリ用ペダルローラー付きスプリントマシン

パワーアシスト付き簡易型舟漕ぎマシン1号機パワーアシスト式簡易型舟漕ぎマシン 1号機

パワーアシスト付き舟漕ぎマシン実験風景パワーアシスト付き舟漕ぎマシンの脳内活動に関する研究
fNIRS(島津製作所製)を用いて、受動的な舟漕ぎ運動時の脳内酸素化ヘモグロビンの動態を観察した


パワーアシスト付き舟漕ぎマシンでの脳内変化パワーアシスト付き舟漕ぎマシンによる受動的運動時の脳内酸素化ヘモグロビンのデータ
受動的運動でも脳内変化が生じることが観察された。


パワーアシスト付き舟漕ぎ月曜会パワーアシスト付き簡易型舟漕ぎマシンを用いて、脳卒中の後遺症による
リハビリ運動を実施。
腕の屈伸など、上肢の柔軟性や自由度が改善した。


パワーアシスト付き多動式楕円軌道自転車 第1号機 80歳男性パワーアシスト付き多動式楕円軌道自転車 1号機
自動的に楕円軌道を描いてペダルが回転する。ペダルの回転に合わせて、座席が上下に移動し、ハンドルの支柱も体幹に近くなったり、遠くなったりする。
人は、ペダルの運動に合わせて、ハンドルを左右に動かし、動きのバランスをとる。


パワーアシスト付き楕円軌道自転車 かやのまちパワーアシスト付き多動式楕円軌道自転車は、多くの高齢者に好まれ、「十坪ジム」(NPO法人運営かやのまち店)でも人気者である。
のちに、遊園地のメリーゴーランドの乗り物のような印象があるところから、「メリーちゃん」の愛称がついた。


月曜会伊藤すり足動作型トレーニングマシン
脳卒中の後遺症を持ち、歩行時には、片足に装具をつけたままで20年間が経過したが、すり足動作型トレーニングマシンを用いたトレーニングを行うことによって、装具なしで歩行することができるようになった。
運動自体に苦しさは伴わず、楽しく運動することができる。


月曜会体幹捻り多軸式体幹捻りマシン
20年間、体をひねる運動なされなかったことによって、体幹捻りの運動は非常に難しく、手で手すりも握ることができなかったが、トレーニングを継続することによって、体幹捻りの運動ができるようになった。特に、マシンの回転台の小さな足部の内旋・外旋ができるサークルを取り付けたことが運動の自由度を高めることになった。


月曜会トレッドミル87歳低床でベルト長が長いトレッドミル
両手で、トレッドミルの前手すりを握り、時速1㎞程度のゆっくりした速度でトレーニングを行うが、片足が着地しているときは、反対側の足は空中にできるだけ長い時間保ち、膝も高く上げて、前に運ぶようにする。
運動選手でもきつい運動であるが、低体力者でもそれなりに運動を遂行できる。手すりが握れない場合は、サポートしてあげる。


漕艇用トレーニングマシン 側面リハビリ用マシンとしての漕艇用トレーニングマシン
漕艇競技のトレーニングマシンとして開発した漕艇用トレーニングマシンは、リハビリ用トレーニングマシンとしても有効である。
漕艇競技に使う艇では、足の部分が固定され、移動式シートに尻を載せた姿勢で、脚の屈曲・伸展がシートのスライドによって抵抗なく行われる。両手でオールを握り、脚の伸展力と腕の力を利用して、オールを手前に引き寄せる動作を行う。オールを元の位置に戻すときは、膝を屈曲させてシートを尻に近く引き寄せるとともに、体を前傾させて腕を伸ばし、オールをできるだけ前方に移動させる。オールの操作は、オールで水をかくように行う。すなわち、オールの握り側を手前に引くときは、オールをやや立てるように斜め角度にして、握り部分とは逆の先端部分(ブレード)が水をとらえるように想定して手前に引く。オールの握り部分を前方に戻すときは、オールの先端部分(ブレード)が水中から空中に出て後方に運ばれるように想定して動作する。漕艇用トレーニングマシンでは、漕艇競技に用いられる本物のオールを、握り側を残してブレード側(水かき部分)を切断して取り付けてある。切断したブレード側の重量に相当するおもりを握り側のオールの先端に取り付け、全体をして本物のオールと同じ重さバランスが保たれている。


アニマルハンドル手前リハビリ用マシンとしてのアニマルウォークマシン
アニマルウォークマシンは、スポーツ選手を対象に考えられたが、回転ハンドル位置を手前にして、座位姿勢のまま、腕のハンドル回転や、楕円軌道のペダリング運動を行うことは、腕や脚の運動機能回復を図るうえで効果的であるようだ。特に、楕円軌道のペダリングでは、ハムストリングスをはじめ、脚の屈曲に関する筋群の運動機能を高め、歩行動作時の脚運動バランスを高める効果がみられる。